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【Connector’s Story vol.3】海外で見たあのカフェの風景をつくりたい。コーヒー極めて約10年、バリスタemiがエンブレムで実現したこと。

私たちは、エンブレムホテルで働くスタッフのことを「コネクター」と呼んでいます。ローカルとゲストを「コネクト」し、また自らも彼らとつながる存在であるからです。

そんなコネクターを紹介する連載「Connector’s Story」。今回紹介するのは、日野えみ(ひの えみ)。メルボルンやスペシャルティーコーヒーロースターでバリスタとして経験を積んだ後、2019年春にエンブレムにジョイン。エンブレムフロー箱根のオープンとともにカフェの立ち上げに携わる。コーヒーを極めていた彼女がなぜカフェを作りたいと夢見たのか、そしてカフェ立ち上げの道のりについて、聞いてみました。

#connector’s profile

日野えみ。東京都出身。大学卒業後はカフェの運営会社に就職。コーヒーを極めるため、1年半オーストラリア・メルボルンでバリスタ修業を積む。その後、神奈川県辻堂のスペシャルティコーヒーロースター、27COFFEE ROASTERSでの勤務を経て、2019年3月エンブレムフロー箱根のオープン準備期間よりジョイン。Japan Barista Championshipの公式テクニカルジャッジ受験経験あり。

 

小さい頃は、演劇クラブの監督になりきっていた

小さい頃から、自分が興味を持ったらとことん突き詰める性格と言われてました。例えば、皆が仲良くおままごとをする中、私は草むらをひとり駆けまわってたり(笑)人を楽しませることも好きで、小学生の時には、演劇クラブの監督みたいなことをやってたんです。ここはこうやって演じてくださいと指示して、本番中、皆が楽しそうにステージで演じるのをカーテンの裏から見るのが好きでした。今思うと変わった子だったなって思います(笑)

 

警察官ではなく、人を楽しませる仕事を。

大学では法学部に入っていて、実は将来、警察官のような法に関わる仕事に就きたいと思ってたんですよ。でも、自分の性格を考えた時に、やっぱり人を楽しませる仕事をしようと。就職活動をして、新卒で入社したのは、カフェの運営会社。「個性を大切にする」というコンセプトに惹かれたんです。食事を出すときに、一人一人がどれだけ、お客様を楽しませるかということを重視していて。他のカフェとは違って面白いなと思って入社しました。

 

コーヒーの腕を磨きたい。

コーヒーに興味を持ったのもその会社がきっかけ。社内にはコンクール制度という、バリスタやパティシエ、接客などのスキルを競うするコンテストみたいなのがあったんです。同期と切磋琢磨してスキルを磨いていくうちに「何か1つでも自信になるものがほしい」と思うようになりました。そうやって決めたのが、コーヒーの腕を磨いてバリスタになるということでした。

 

メルボルンでのバリスタ修業

「やると決めたからには、とことん極めよう」そう決意し、私はコーヒーの最先端である、オーストラリア・メルボルンで働くことに決めました。渡豪後は、すぐさま職探しを始めました。でも待っていたのは厳しい現実。言語力やコーヒーのスキルが認められず、全く雇ってもらえなかったんです。そんな中、やっと採用された所は、中国人のおばさんがやってる小さなコインランドリー。隅にある小さなエスプレッソマシンを使い、たま~に洗濯がてら注文してくれるお客さんにコーヒーを作ってました(笑)ようやく普通のカフェで雇ってもらえるようになっても、何件かは、語学力が低いという理由で解雇されたりもしましたね。20ドルだけ手渡されて「これで勘弁してくれ」と(笑)

 

メルボルンでのカフェ修行の様子

 

メルボルンで見たカフェの風景

現実は相当厳しかったですけど、それより楽しさの方が勝ってました。何より、カフェという空間が好きで。休みの日は必ずカフェ巡りをして、内装や接客の様子を観察してました。海外のカフェって日本のカフェと違って、「活気」が全然違うんです。日本のカフェは、自分だけの空間をつくるもの、ゆっくりする場所というイメージがあるじゃないですか。でも、海外は全く逆なんですよね。1日中、ガヤガヤしていて、お客さん同士の会話、バリスタとお客さんの会話があちこちで交錯しているというか。空間もリラックスさせる空間というよりは、エンターテインさせるための空間で。カフェひとつひとつのデザインが常軌を逸しているんです。天井からイスがぶら下がってたりとかね(笑)言ってみれば、カフェ一軒一軒がひとつのアトラクションみたいな感じですね。日本では見られないカフェばかりで、いつかこんな空間を作ってみたいなと思いながら過ごしていました。

メルボルン お気に入りのカフェ

 

「バリスタ」という武器を使って夢の実現に挑む

そんな夢をうちに秘めながら、帰国後は27COFFEE ROASTERSというスペシャルティコーヒーロースターで4年間働きました。そこでは、コーヒーの知識やスキルだけじゃなく、店舗運営や新人教育の経験も積みました。転職を考えたのは、自分が「バリスタ」としてある程度自信を持てるようになってから。次はそのスキルや肩書を使って、自分がメルボルンで夢描いたことを叶えようと思ったんです。そんな時、エンブレムのカフェスタッフ募集の求人を発見したんです。世界中の人が集まる空間でカフェの立ち上げに関われる。これはやるしかない!と思って入社を決めましたね。

 

カフェオープンまでの軌跡

カフェの立ち上げは自分にとって新しいことばかりでした。カフェで使用するアイテムやコーヒー器具の選定、メニュー作り、周辺カフェの調査など色んなことを経験しましたね。あと、一番重視していたのは、自分がどんなカフェを創りたいのか、チームの皆に想いを伝えることでしたね。とにかく、準備期間はやることが沢山で、目まぐるしく過ぎていったのですが、無事にカフェをオープン出来た時は、本当に達成感を感じました。

 

カフェ立ち上げ直後

自分で作ったカフェメニュー

カフェの存在意義が分からなくなった

でも、オープン後、すべてが順風満帆にいったわけではなかったんです。一番大変だったのは、カフェのオペレーションを1人でやっていた頃。当時は併設のホテルもオープンしたてで、社員がホテル部門とカフェ部門ひとりずつしか居ない状態。とにかくバタバタしていて、他のコネクターはホテル業務や客室清掃で大忙しでした。そんな中、自分だけがひとり、思うようにカフェをやっていて良いのか。ここまでしてカフェをやっていく必要があるのかと、カフェの存在意義に疑問をもつようになったんです。

肩を押してくれた代表の言葉

この悩みから救ってくれたのが代表の言葉でした。「エンブレムにカフェは絶対必要なツールになるから」代表の言葉のおかげで、今まで自分がやってきたことに自信が持てました。同時に、エンブレムフロー箱根のカフェをもっと認知してもらえるようになろうと奮起させられました。

チームの力が必要

自分の実現したい空間をつくるのは、1人じゃできない。皆の理解と更なる協力が必要だと感じたので、より一層熱意を皆に伝えることを大切にしました。月に一度のミーティングで、ホテルにカフェが必要な理由や、私がカフェを開きたいと思った理由、そしてカフェのコンセプトなど、何度も何度も伝え続けました。そしたら、今まで以上にみんなが手伝ってくれるようになって。アルバイトの子がチラシ配布を手伝ってくれたり、ホテル担当の子も、コーヒーのトレーニングを率先して受けてくれたりしました。今ではバーや飲食担当のコネクターがジョインして、今まで1人で悩みながら進めていたのが、複数人で議論を交わせるまでに。本当に周りのみんなに恵まれているなと思いました。同じ目標に向かって一緒に働く仲間が増えるに連れて、チームで働く楽しさを感じましたね。

 

エンブレムコネクターとの写真

 

withコロナ時代。こんなカフェを作っていきたい

これからは、エンブレムのカフェブランドをもっと強くしていきたいと思ってます。例えば、味の想像が全くつかないドリンクをつくりたいです。というのも、今インスタ映えのドリンクやスイーツが流行ってますけど、なんとなく味の想像ってできちゃうじゃないですか。イチゴが盛大に乗ってるパフェを見たら、単純に甘そうとか。でも、例えば、ブドウが下に沈んでいるグラスに、トニックウォーターが注がれて、更にエスプレッソがかかっている。これを提供されたらどう思いますか?どんな味なんだろうってドキドキするじゃないですか。そういう味の想像がつかなくてワクワクさせられるものを提供したい。そして見せ方を工夫して話題性に繋げていきたいですね。

でもそのために大切なのは、味をぶらさないこと。味のクオリティを確保してこそ、話題性とかの付加価値がついてくるわけで。最近は、他のコネクターにもコーヒーのことを好きになってもらうために、コーヒートレーニングシステムを徐々に作っていってます。やっぱり、コーヒーはつくる人が楽しんでこそ、お客様も喜ぶものだと思うので。コロナと共存するなかでも、ここに行きたいと思ってもらえる、美味しいもの、ワクワクするものをどんどん作っていきたいと思います。